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痔の注射治療について
Q:痔(じ)の注射治療には、どんな方法があるのですか。
A:痔はポピュラーな病気で、“2人に1人は痔主”といわれるくらいです。しかし、直接命にかかわるほど重い症状がまれな上に、人前では話しにくいこと、また手術や入院を考えると負担になり、自己流の治療で対応して悪化させている多くの患者さんたちに出会います。また、痔だとばかり思っていたら、実はがんであったため、手遅れになってしまった方もいます。
そこで、最近注目を浴びているのが、手術も入院も必要のない、痔を切らずに治す注射治療法です。注射治療には、硬化療法と腐食療法があります。硬化療法には、以前本コラムでもお話ししたPAO(パオスクレー)とALTA(ジオン注)があります。
PAOはフェノールアーモンド油を成分とし、出血する内痔核に即効性があり、注射手技も比較的簡単なため、よく施されていますが、1年くらいしか効果は続きません。一方ALTAは、出血や脱肛(こう)に著効を示し、根治手術に相当する長期的効果が期待できます。
腐食療法は、30年以上前、注射1本で痔を腐らせて取るということで評判を得ていました。しかし、痔核組織に毒性のある注射液を注射して壊死させる(腐らせる)わけですから、ひとたび痔核の周囲に注射液が広がると、正常な組織まで腐らせてしまい、激痛を起こすこともあります。さらに、腐食療法後の難治性皮膚潰瘍(かいよう)や肛門狭窄(きょうさく)も問題となり、現在腐食療法を行う施設はわずかになっています。
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山本醫院 福山市引野町北2-8-28
TEL:084(943)2777
※このコラムは、山本醫院院長・山本裕先生に伺っています。
(「リビングふくやま」2012年11月10日号掲載)
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